4回に分けてお伝えしているWISC検査-IVの各指標(言語理解/知覚推理/ワーキングメモリー/処理速度)、今回は「知覚推理(PRI)」についてお伝えさせていただきます。

前回→WISC-IV検査を知るー言語理解指標 (VCI)について

知覚推理 (PRI)とはどんな検査?

知覚推理 (VCI)は、非言語による推理力・思考力、空間認知、視覚ー運動協応などを示す指標になります。

この指標を図る検査としては、積木で模様を作る課題や複数の絵から仲間を選ぶ課題など、全部で4つあります。

4つのうち3つが基本の検査で、もう1つは代替えの検査となります。

 

知覚推理(PRI)が低い場合は、どのような困難が考えられる?

各検査の平均値が「知覚推理指標得点」となるのですが、ここが低い場合、どのような困難が想定されるのかを見ていきましょう。

知覚推理(PRI)が低いと、下記のようなことが苦手かもしれません。

たとえば

〇作業手順や段取りを考えること
○ノートをまとめたり、話をまとめること
〇片付け、整理整頓
〇図表や絵の理解
○漢字学習
〇視覚操作(視覚情報のなかから必要な情報を見つける力)
〇新規場面の問題解決能力
○空間認知の弱さ

などです。

「言語理解 (WMI)」が強ければ「聴覚優位」、「知覚推理 (PRI)]が強ければ「視覚優位」と考えられます。

コミュニケーションでは、7:3の割合で非言語的 (視覚的) な情報を受け取るとも言われ、知覚推理の弱さが状況理解の弱さ、つまり「KY (空気が読めない)」として現れるかもしれません。

 

知っておきたい「空間認知」

「空間認知」

あまり耳慣れない言葉かもしれません。

「空間認知」または「空間認識」とは、3次元空間上において、物体の位置や形状・方向・大きさなどの状態や位置関係を素早く正確に認識する能力のことです。

この能力があることによって、普段の生活の中で、目の前にないものでも頭の中で想像し、視覚的なイメージを形成することができます。

では、ここで算数の問題です。

下のサイコロ展開図で「1」と向かいあう数字は何ですか?

答えは「6」ですね。

この問題を考えるときに、頭の中でサイコロを組み立て、向い合う面を想像されていたかと思うのですが、それが空間認知能力です。

普段、無意識に使っているこの能力は、自分の身体を動かし、距離や方向、大きさなど実感し経験することで伸びていきます。

例えば、「鬼ごっこ」では自分と鬼との距離感、ブロック遊びでは物と物の位置関係など、子ども達は3次元のリアルな世界で遊びながら、こんなことを学んでいるんですね。

知覚推理 (PRI)が低い子どもへの支援の仕方

では、前述のような困難がある場合、どのような支援が必要なのでしょうか?
具体的な支援方法としては

〇ひとつひとつ順を追って説明する
〇頭の中だけで操作させるのではなく、具体的な物を用いる
(小学1年生で算数セットを用いるのは、このためです)
〇漢字や図形の特徴など、言葉で定義づける
(例:3つの点を線で結んだものが三角形)
〇位置や場所などは上下左右、順序、方向、目印などを明確にする

などがあります。

知覚推理の低いお子さんは、「見れば分かるでしょ!」「ちゃんとよく見なさい!」と叱られがちになるかもしれません。

そんな時、ここでご紹介したことがお子さまの理解や支援に少しでもお役立ていただけたら嬉しいです。

次回は、「ワーキングメモリー (WMI)」についてお伝えします。